【趣旨】

大村恒雄先生は我が国を代表する生化学者であり、大阪大学蛋白質研究所生理機能部門(佐藤了教授)在籍中の1962年に、還元型のヘム鉄に一酸化炭素が結合すると450 nm に吸収極大を示すb型のチトクロームが肝臓ミクロソーム(小胞体)に存在することを明らかにし、P450と命名されました。P450のPはpigment(色素)を表します。その後P450は、チトクロームP450(CYP)と呼ばれるようになりました。P450は、生物界に幅広くそしてヒトを含む動物ではあらゆる臓器に存在し、内在性および外来性の多様な基質に対して、一原子酸素添加反応を触媒します。内外環境応答や脂質代謝と異物代謝研究の発展は、大村先生のP450の発見が基礎となっています。      大村先生は生涯を通して若い研究者の育成に関心を持ち続けられ、ご逝去されるまで、長年に亘って内外環境応答・代謝酵素研究会の名誉顧問として会の継続と発展に寄与されました。私達は大村先生に感謝し、そのご遺志を引き継ぐために、若手研究者を対象にした大村賞 (T. Omura Award) を創設します。

【対象となる研究分野】

環境応答シグナルおよび代謝酵素: 生体は外来性および内在性刺激に対して巧妙に応答し、これら二つのシグナルは相互にクロストークすることで複雑な情報伝達を行っています。これらのシグナルは代謝酵素の発現を誘導し、生体反応を制御しています。大村賞は、これらの応答機構および代謝酵素の構造と機能を解明する研究を対象とするものです。

【受賞対象者】

内外環境応答・代謝酵素研究会への参加実績および確固とした業績があり、将来独創性の高い研究が期待される若手、中堅を対象とする。

【応募要領】
・自薦他薦は問わない。
・履歴書、業績目録(論文・学会発表等)、および研究内容と今後の展望をA4 2枚程度にまとめた要旨を提出する。
・毎年公募し、応募の締め切りは定例の研究会で公表する。

【受賞】
・大村メダルと副賞2万円。 受賞者は研究会の定例会で講演する。